脂肪多い食事は精液の質を低下させる…?
3月13日付の欧州医学誌「Human Reproduction」(電子版)に、男性の不妊症に関連する発表がありました。
米マサチューセッツ総合病院のJill A. Attaman氏らが行った予備的な研究で、同院の不妊治療センターを受診した男性を対象に食事の脂肪量調査を実施。その結果、食事の脂肪量が少ない人に比べ、脂肪量が多い人では精子の数が43%減少するなど、精液の質の低下が見られた。という内容です。
オメガ3脂肪酸が多いと正常な精子の割合が高い・・・
Attaman氏らは2006年12月〜2010年8月にマサチューセッツ総合病院不妊治療センターを受診した男性のうち、無精子症などを除き、精管切除術を受けていない99人(平均年齢36.4歳)を対象に予備的研究を実施。
摂取カロリーに占める脂肪の割合によって3群に分けて検討したところ、最も高かったグループ(平均脂肪摂取率37%)は、最も低かったグループ(同26%)に比べて総精子数が43%、精子濃度が38%それぞれ低下を示した。
一方、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのオメガ3脂肪酸が摂取カロリーに占める割合によって3群に分けて検討したところ、最も低かったグループ(平均オメガ3脂肪酸摂取率0.4%)に対して最も高かったグループ(同0.7%)では、精子の形が正常な割合が1.9%高かった。
※『オメガ3脂肪酸』とは・・・
イワシやサバなどの青魚に含まれるDHA・EPA、植物油ではα-リノレン酸がオメガ3脂肪酸に分類されます。
青魚をはじめ、えごま油、シソ油、亜麻仁油、くるみなどの食品から摂取することができ、DHA・EPAはα-リノレン酸から体内でも合成されます。
【追記】
今回の発表は予備的研究によるもので、今後更なる研究の必要性がある。とあります。
妊娠中のインフルエンザワクチン接種について
妊娠中の「季節性インフルエンザ予防接種」に関する研究報告が、ボストン(米国)で開催された米国感染症学会(IDSA)年次集会でありました。
今回の研究報告では、季節性インフルエンザの予防接種が妊娠中の女性のみならず、出生後の数カ月間、新生児をインフルエンザから守ることが示されています。
ユタ大学小児科助教授のJulie Shakib氏らによる小規模研究では、母親が季節性インフルエンザの予防接種を受けることにより、新生児はインフルエンザ抗体の形で免疫を受け継ぐことが判明。その防御作用は出生後2〜3ヵ月間持続するとあります。
抗体による防御作用がみられたのは、予防接種を受けた母親(11例)から生まれた新生児が100%(生後2ヶ月目で60%、4ヶ月目で11%に認められた)だったのに対し、予防接種を受けていない母親から生まれた新生児は 31%(抗体による防御作用は2ヶ月後も4ヶ月後も認められなかった)であった。
新生児は生後6ヶ月までインフルエンザワクチンの接種を受けることができないことから、同氏は「この研究は、母親の予防接種により出生後数カ月間、新生児がインフルエンザから守られることを示唆している。妊娠女性は自身と乳児を守るため、予防接種ができるならば直ちに受けるべきである」と述べています。
季節性インフルエンザの予防接種と流産との関連について
「米マーシュフィールドMarshfieldクリニック研究財団のStephanie Irving氏らの研究では、流産した妊娠女性243例と流産しなかった243例を比較。
流産した女性が流産4週間前に予防接種を受けた率は、流産しなかった女性に比べて高くなかったことから、関連性はないとしています。
同氏は「安全性に関する心配は妊娠女性がインフルエンザの予防接種を避ける最大の理由の1つである。この知見により、妊娠女性はより安心して予防接種を受けられる」と述べています。
【追記】
今回の報告はすべて学会発表であるため、データおよび結論はピアレビューされた医学誌に掲載されるまで予備的なものとみなす必要がある。とあります。
妊娠初期のNSAID服用が流産のリスクを増大させる?
妊娠初期の女性が「イブプロフェン」などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDエヌセイド)を使用すると、流産のリスクが増える可能性がある。と、カナダ医師会誌「CMAJ」オンライン版に掲載されました。
※NSAIDは鎮痛薬として、頭痛や関節痛、狼瘡などの治療によく用いられますが、すでに妊娠後期では胎児の循環系の発達を妨げることがわかっていて、医療機関では使用を避けています。
今回の研究は妊娠20週までの期間について検討。
妊娠直前から妊娠20週後までに少なくとも1回NSAIDを処方されていれば、NSAID使用者とみなし、ケベック州で流産した女性5,000人のデータを、流産していない女性5万人のものと比較。
その結果、妊娠初期にNSAIDを使用していた女性は流産リスクが2.43倍でした。
「今回の研究は無作為化対照試験ではないものの、結果は他の無関係な因子によるものではなく、確かに薬剤によるものである」と、この研究著者であるカナダ、サント・ジュスティーヌ病院のAnick Berard氏は述べています。
薬剤別のリスク差
「ジクロフェナク」(商品名:ボルタレンなど)・・・3倍
「ナプロキセン」(商品名:ナイキサンなど)・・・2.64倍
「イブプロフェン」(商品名:イブなど)・・・約2倍
NSAIDが流産を誘発する機序は明らかにされていませんが、陣痛の誘発に関与するホルモンであるプロスタグランジン(PG)の値に影響を及ぼす可能性があるということです。
この報告は処方薬のみが検討対象となっていますが、市販のNSAIDにも少なからず同様のリスクがあると考えられますので、妊娠を計画した女性は、頭痛などで市販薬を使用する際にも念のため、「アセトアミノフェン」を使用することをお薦めします。
※医療機関にて関節リウマチや狼瘡などの治療で継続的にNSAIDを使用している方は、妊娠の計画を含めた治療方針について、担当医とよく相談することがよいでしょう。
出産前後の脳静脈血栓症について
脳静脈血栓症(CVT)・・・
動脈ではなく、静脈を侵す希なタイプの脳卒中。
脳から心臓へと血液を戻す硬膜静脈洞内の血栓が原因。
妊娠女性や経口避妊薬を服用する女性、45歳以下の人に最もよくみられる。
米国心臓協会(AHA)・米国脳卒中協会(ASA)の報告によると、妊娠中や出産直後の脳静脈血栓症(以下CVT)の発症率は2,500〜10,000人に1人で、考えられていた以上に頻繁に発生していることがわかりました。
発症リスクは、妊娠後期(25週〜出産まで)および分娩後4週間が最も高く、73%が分娩直後に発生しているそうです。
CTVの症状として最もよくみられるものは・・・
「数日から数週間にかけて悪化する頭痛および発作などで、局所神経障害(四肢の脱力、複視など)がみられることもある」とカナダ、トロント大学セントマイケルSaint Michael病院のGustavo Saposnik博士はAHAのニュースリリースで述べています。
CVTの疑いのある場合・・・
○ 血栓リスクを増大させる因子(血栓促進因子)を判定する血液検査
○ 経口避妊薬の使用の有無
○ 炎症性疾患および感染症などの有無
などについてスクリーニングを受ける必要があります。
【追記】
今回の報告では、CVTに罹患した女性がその後の妊娠時にこの合併症を来すリスクは低いとあります。

